今コロナでみんな大変やと思うけど、うちはクロフネカンパニーっていう会社やってんねんけど、4月の頭くらいに自宅におってさ。その頃は緊急事態宣言やら自粛期間中で、コロナってめっちゃヤバいやんみたいになってたと思うねんけど、あの頃に講演もずっとゼロになってたし、果たしてこれからどうしようかと思ってた。

その時に従業員の人らが来てな、「話がある」と。会社辞めるとか言われたら嫌やな〜と思ってたら、「来月から会社の給料10万円下げてくれ」って言うたんよ。

え……

最初意味分からんかったんやけど、自分たちはこの会社大好きで、社長も大好きだから、自分たちの給料を下げたら会社の運営が楽になるんちゃうかって。僕らは社長が落ち込んでる顔とか不安そうになってる顔とかを見たくないんですって。

だから俺らは給料が１０万下がったって生活に支障ないから、下げてくれって言うねん。俺泣いたよ。

うわあ

なんやねんお前ら！って泣けた。でもその後オチがあって、「俺ら１０万下げる代わりに社長も２５万下げてください」って言われたんよ。

「そうかぁ！ほなみんなで給料下げるかぁ！！」って言いながらその日みんなでどんちゃん騒ぎや。

はは！

給料が上がるから人間頑張るとか、労働条件が下がるから頑張らないとか、そういう事じゃないよね。どれだけ人を好きになれるかとか、どれだけ信じ合えるかとか、そういう仲間が出来たときに、自ずとそれぞれが人間力を発揮するんやないかなって。

だからコロナでみんながオンラインっている中で、自分はやっぱりリアルで、スーパーオフラインでいきたいんやと。僕の方から日本中みんなに会いにいきたいんやという事で、ソーシャルディスタンスとか予防対策とか全部万全に整えた上で、50人くらいを目処に知り合いのツテだけでやろうって。もしそれでクラスター発生したとか誰かが感染するような事があったら、俺責任とって講演家辞めますって。また新しい事探したらええわって、それよりもウジウジして動かずに何もせんとおるのが地獄やったから。

でもそれから応援団で立ち上がった人が１６０人くらいいてな、それからずーっとスケジュールパンパンになって、めちゃくちゃ暇な４ヶ月から、今も全国行脚で講演回ってんねん。

うわぁ

いつも講演の最初にこれを毎回言うててん。要するに、助けて欲しいっていうのを、言ってええと思うねん。「僕は、実は人間として一番弱い部分を表に出したんです」って。講演も全部ゼロになってる、待ってたって誰も電話かかって来ぇへん。かかってきたら講演キャンセルの電話しかない。あれだけキャンセルの電話来たら気ぃ狂いそうになるよ。

うんうん

でもそういうときに、落ち込んだってええんやって。そこで、「全国に講演回らせて欲しいから、もし何かあったら全部責任取って、吊し上げられてもいいから、もし聴いてる人いたら助けてほしいねや」って言うただけやで。そしたら１６０人もの人が手を挙げてくれて、人生最大の忙しさになってしまってさ。だからみんなに言いたいのは、コロナでほんまに大変かもしれん、これからもっと大変になるかもしれん。そうなったら「助けて」って言うてええんやって。軽はずみに自殺なんかしなさんなよって。

うんうん

それでな、「全部責任取るし吊し上げられてもええから、やらせてくれ」って言うてたら、おれ過去に人生で２回だけあったんやけど、壇上で泣いた事があってな。客席の女の人が一人バーって立ち上がったんよ。そしたらボロッボロ泣きながら「文昭さん、講演辞めるなんて言わないでください！！」って言うたんよ。

「文昭さんがそう言うんやったら、今この瞬間から私が講演の主催者になりますわ！！だから文昭さんには日本中に希望を届けてほしい。ずっと日本中のみんなの心に火を付けて全国回ってほしい！せやから今日のこの講演は、私が独断で主催したことにしてください。」って言ってん。

それで賛同して頂ける方は拍手をお願いしますってその女の人が言うたら、会場からぶわあああって拍手が起こってん。

やばいっすね……

おれ壇上で泣いたって。思い出すだけで涙ぐんでくるよ。

凄い！

頭良くなくてもええし、かっこよくなくてもええし、おっさんでもええし、みんなそれを自分の１番の魅力に変えながら、助けてって。弱音吐いたっていいわけやしさ。俺本当にそう思ってるよ。あの場面で助けてって言うたんは、自分のうちから湧いてくるものを吐き出しただけなんやって。