特別対談　〜福島正伸さん⑤〜

先生は、数年前にとんでもない困難があったと思うんです。

はい。余命宣告されました〜。

それを乗り越えられたときの話を少ししていただけると嬉しいです。

本にも書いたのでね、既に知ってらっしゃる方もおられるかと思いますけど、実は最初にガンを宣告されたのがもう7年前なんですよ。

もう7年経つんですか！

7年です。治ってからはもう6年です。

ああ、もう6年になるんですかぁ。。。

そうですね。そのくらい時間が経ちました。
　
最初は喉に大きな塊が見つかって、なんだか分からなかったんだけどもガンだと分かって、転移してると言われて。
　
そこでもう仕事はやめてください、
会社もやめてください、
生きるだけになります、
寝たきりになります、
しゃべることもご飯を口から食べることもできません、
呼吸も口からはできません、
ただ生きるだけです。
でも生きることを選んでください。
　
って言われて、お断りしました〜！

^^;;

そのとき思ったことは一つです。
　
「治す」
　
自分の中で「治すか死ぬか」っていう決意を最初にしました。
　
というのも、この命は誰かを笑顔にするために使い切るんだって決めていたので、寝たきりになってもできることがあったかもしれないですけどね。でも僕は社会復帰したかったんですね。
　
お医者様からは「治す方法はありません」と言われました。僕は「それでも探します」って言いました。
　
「どうするんですか？」
　
「分かりません」
　
「残りの時間は半年です。長くて一年しかもちません」
　
「その前に治します」
　
「治す方法はないですよ」
　
「なんとかします」　
　
そしたら先生が、「あなた頭おかしい！！」って言われたんですねぇ。それで言い返したんですよぉ！

「なんで分かったんですか、、、？みんながおかしいって言ってくださるんですよ、、、」　
　
無視されました。
　
それで全国37ヶ所の病院を回って、奇跡的な出会いがあって、九州の陽子線治療センターっていうところで、何とか治すことができました。治療はとてもきつかったんです。口の中を陽子線っていうので焼くんですけど、激痛なんですよ。のたうち回るくらい辛いんです。
　
すると自分の中で、どうして生きてるんだろうって考えるようになるんです。毎日、人間は何で生きてるんだろう、どんなに頑張ってもどうせ最後は無くなっちゃうんだよねって。本当に初めて死を考え出したんです。
　
すると不思議なことに、生きてる意味を考え出すんです。生きるってすごく辛いことなのに、どうして生きてるんだろうって。治療では麻薬も打っていました。医療用麻薬ですよ。それで夜中になると恐ろしいことが起きるんです。
　
夜中に病室のドアが、ギギギギギぃぃぃ、、、。開くんですよ。そしてそこからは、真っ黒な子熊たちがうわあああって入ってくるんですよ！

ふふふ（笑）

うわあすげぇ！子熊だらけだぁ！！夜中に一人で興奮しました。どうやら幻覚だったようです。すみません。

（笑）

そうしたらですね、毎晩生まれてからのいろんな思い出を全部思い出したんです。こんなこと思い出したことないよなっていうことまで、全部思い出したんです。
　
もう号泣でした。
　
うちのスタッフが僕を元気付けるためにメッセージを送ってくれたりしたんです。
　
もう号泣です。涙が止まらない。
　
なんて幸せな人生だったんだろうって思えたんです。人間って本当に苦しい時、幸せな時間を思い出すんですよ。生きるの意味っていうのはどれだけ幸せな時間を作るか、どれだけ笑顔の時間を作るかっていうことなんじゃないかな。その笑顔の時間っていうのは、消えることがないんじゃないかな。これが生きてる意味そのものなんじゃないかなって思ったら、生きることがとても素晴らしいことに思えたんです。その話は本にも書きました。
　
だから皆さん、本当に苦しくなってもうダメだと思ったら、日記を書いてくださいね。あとで本になりますから。その本は、他の人に元気を与える素晴らしい本になります。不思議なことかもしれませんが、僕はガンになって、治った後も副作用や後遺症は残っていますけど、今の方が幸せなんです。
　
全てが幸せに感じられるんです。話ができる。
　
朝起きたら「おお！今日も生きてる！何でもできるぞ〜！水道から水が出る！水道局の人が送ってくれたのか！電気がつく！東京電力の人、やるなぁ！全部すげぇ人たちばっかりだぁ！」毎日が興奮です。

　
大丈夫ですかぁ？

大丈夫です（笑）　
先生の話を聞いて、ものすごく学ばせていただきました。