大事な場面で、心がぽきっと折れてしまう。
一度落ち込むと、なかなか元に戻れない。
もっと強い心がほしくて、「折れない心の作り方」を調べている方もいると思います。
先に答えを書くと、講師たちの話に共通していたのは、心を硬く鍛えることではありませんでした。
曲がっても、また戻ってこられる「しなやかさ」です。
この記事では、人間力大學オンラインの事前対談に登壇した5人の講師の話を紹介します。
事業の失敗が続いた人、大けがを負った人、売れない営業時代を過ごした人もいます。
先に答え:折れない心をつくる4つのこと
5人の話から見えてきたのは、次の4つです。
- 硬さより、しなやかさ:折れない心は、何があっても曲がらない心ではなく、曲がっても戻ってこられる心
- 信じてくれる人の言葉を持つ:周りが諦めていても、「できるよ」と言ってくれる人の言葉を支えにする
- 捉え方を選び直す:起きた問題そのものより、それをどう捉えるかで次の一歩が変わる
- 毎日、小さく切り替える:完全には切り替えられなくても、「よかった」を探して戻ってくる

ここからは、5人の話を一人ずつ見ていきます。
1. 折れない心は「硬さ」ではなく「しなやかさ」
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(2024年4月の人間力大學オンライン事前対談より)
矢部さんは、心の仕組みを伝えている心理カウンセラーです。
この回の講演テーマは、そのまま「レジリエンス〜折れない心の作り方〜」でした。
矢部さんによると、中学校などでの講演で、レジリエンスというテーマを求められることが増えているそうです。
レジリエンスは、簡単に言えば、心を強くするイメージの言葉です。
ただ、矢部さんが話したのは、その「強さ」の中身でした。
折れない心というと、太くて硬い、頑丈なものを作るイメージを持ちがちです。
昔でいう根性のようなものです。
けれどレジリエンスは、回復する力や、元に戻る力のこと。
矢部さんは、心のしなやかさ、柔軟性のようなものだと説明しています。
心が折れそうになるのは、自分にとって困難が起きたときです。
そのとき、どんな状況でもいい心の状態を保てるか。それがポイントだといいます。
では、何が心を折れやすくしているのか。
カウンセラーとして多くの相談を受けてきた矢部さんは、しんどいときの人の言葉に共通点があると話します。
この考え方が苦しみの元になっていて、折れてしまう原因にもなっている、と矢部さんは言います。
一方で、そう思ってしまうのはごく自然なことで、分かっていても抜け出すのは大変だとも話しています。
しなやかさがあると、失敗したことで、かえって力をつけられる感覚が持てる。
そうでないときは、折れた瞬間に、もう人生終わりだ、というような気持ちになってしまう、といいます。
この話のポイント
折れない心は、何があっても曲がらない心ではありません。
曲がっても、また戻ってこられる心です。
2. 周りが諦めても「できるよ」と言ってくれる人がいた
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(2023年7月の人間力大學オンライン事前対談より)
公式のプロフィールによると、石黒さんは小学2年生の秋に交通事故にあいました。
顔面を540針、口の中を260針縫う大けがでした。
記憶喪失や顔面まひなど、さまざまな後遺症もありました。
治療中にテレビで見たシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)に憧れ、翌年から競技を始めます。
そしてお母さんと二人でオリンピックを目指し、2008年の北京オリンピックに出場しています。
対談で石黒さんは、事故のあと、周りの誰もが元の生活には戻れないだろうと諦めている空気だったと振り返ります。
その中で、お母さんだけは違いました。
シンクロをやりたいと言った石黒さんを、お母さんは「できるよ」と応援していたそうです。
ただ、お母さん自身も、正直なところ、本当にオリンピックに出られるとは思っていなかったといいます。
それでも、周りが全員諦めているからこそ、自分だけは諦めない人でいようとした。
石黒さんは、お母さんのそんな思いを紹介しています。
石黒さんの半生はドラマにもなりました。
けれど実際に起きた困難は、ドラマで描かれた一つだけではなかったと話しています。
落ち込んだとき、お母さんはいろいろなたとえ話で励ましてくれたそうです。
いちばんよく聞かされたのが、たんぽぽの話でした。
倒れて、枯れてしまったように見えたたんぽぽが、ある日また起き上がって、今度は種を飛ばしている。
何度倒れても、また起き上がれる。
お母さんは、石黒さんの人生をたんぽぽに重ねて話していたそうです。
大嶋啓介は対談の中で、普通はへこんだら、そう簡単には起き上がれない人のほうが多いと話しています。
それを素直に受け取った石黒さんもすごいし、受け取ってくれると信じて話したお母さんも素敵だ、と。
石黒さんは、つらい今の先にどんな未来が待っているかを、夢ノートに描いていくこともよくしていたそうです。
この話のポイント
周りが諦めていても、信じてくれる人が一人いれば、その言葉を支えにできます。
倒れることは終わりではない、という見方を、たんぽぽの話は教えてくれます。
3. 事業の失敗が4つ続いたあと、「問題の捉え方」に気づいた
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(2023年2月の人間力大學オンライン事前対談より)
福島さんは、自立型人材の育成や組織の活性化、地域活性化の支援に30年以上取り組んできた方です。
大嶋啓介が、リーダーシップやあり方を最も教わった師でもあります。
福島さんは20代のころ、学校を出て会社をつくりました。
ところが事業の失敗が4つ続き、どん底に落ちたと話しています。
そこから福島さんは、成功した人とはどういう人なのかを調べ始めます。
伝記を読みあさり、海外まで人に会いに行きました。
分かったのは、成功した人は皆、恵まれない環境から始めていたということでした。
経営資源がそろっていたから成功した、という人はいなかったそうです。
もう一つ、福島さんが気づいたことがあります。
同じ問題でも、ピンチにもなれば、チャンスにもなる。
どんな状況にいるかではなく、どう考えて行動するかで、次の結果も未来も変わってくる、と福島さんは話しています。
何かをやれば、問題は起きるものです。
福島さんは、一生起きますから心配いりません、と言います。
そのうえで福島さんは、趣味を例に出します。
ストライクしか出ないボウリング場や、誰でもプロと同じスコアで回れるゴルフ場があったら、行きたいと思うでしょうか。
問題がなければ、つまらない。
だから人は、うまくいかないことに時間やお金をかけて、趣味を楽しんでいる。
そして、人がいちばん感動するのは、過去の自分を超えたときだといいます。
充実感や感動は、目標を持って一生懸命に努力している時間からしか生まれない。
そのために困難や問題が必要になる、というのが福島さんの考えです。
何もないからできない、という声もあります。
福島さんはそれに対して、学生たちと100円玉1枚で地球環境を変えるアイデアを出し合った話を紹介しています。
今できること、自分にできることから考えていく。
福島さんは、それを「戦略」と呼んでいます。
この話のポイント
問題のない人生はありません。
問題や困難を、成長するために必要なものと捉え直せたとき、同じ出来事への向き合い方が変わってきます。
人間力大學オンラインでは、こうした講師が登壇し、事前対談の続きを講演の本編で話しています。
会員は過去の講演動画も見られます。
4. 落ち込んだままでは人に会わない。だから毎日切り替えた
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(2026年3月の人間力大學オンライン事前対談より)
和田さんは、営業で世界142カ国中2位の実績を持つ方です(公式のプロフィールより)。
「WADA式陽転思考」を提唱し、作家としても活動しています。
けれど対談では、最初は全然売れない営業だったと話しています。
勤めていたのは外資系の会社で、とにかく前向きに考えよう、という雰囲気が強い職場でした。
和田さんはそれが合わず、前向きすぎる空気に圧倒されていたそうです。
和田さんはもともと、先延ばしをしがちで、ネガティブなタイプだったとも振り返っています。
そこで和田さんは、ネガティブな気持ちを見つめながら、自分なりのやり方をつくっていきました。
陽転思考は、営業の現場から生まれた考え方です。
営業では、断られることが続きます。
何人目に断られたあたりから落ち込むかは、人によって違う、と和田さんは話します。
落ち込んで気持ちが沈んだままお客さんに会うと、同じように話していても、相手は前向きな返事をしにくくなる。
目の前のお客さんには、自分のつらい事情は関係ない。
だから毎日、気持ちを切り替える必要があったそうです。
そのために和田さんが続けてきたのが、「よかった探し」でした。
100%切り替えるのは無理かもしれない。
それでも、落ち込んだままでは人に会わないのが営業の鉄則だと、和田さんは考えているそうです。
もう一つ大事なのは、和田さんがネガティブな気持ちから目をそらさず、見つめていることです。
ネガティブな気持ちの中から、よかったを探す。
お客さんの不安も、言葉にしてテーブルの上に出してはじめて向き合える、と話しています。
この話のポイント
いつも前向きでいる必要はありません。
落ち込むこと自体よりも、そこから少しずつ戻ってくる習慣を持つことが大事なのだと思います。
5. 良いことばかりは起きない。だから「あるもの」を探す
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(2024年1月の人間力大學オンライン事前対談より)
寺岡さんは、伊勢の修養団を拠点に、研修や講演を通して日本人の心のあり方を伝えている方です。
主な演題には「起きてきたことは全部よいこと」があります。
対談の冒頭、寺岡さんは、戦争や物価の上昇など、社会の不安が多い時代だと話します。
何を拠り所にすればいいのか、漠然とした不安を解決しにくい時代だ、と。
そのうえで寺岡さんが10年以上伝え続けているのが、今日一日を喜んで生きることです。
講演録(CD)のタイトルにもなっています。
ただし、寺岡さんはこうも話しています。
順調なことばかりでは、心は磨かれないからだといいます。
こうした学びがあれば、誰もが出会う悲しみや苦しみのときに、人に寄り添えたり、周りに温かい思いを向けられたりする、と寺岡さんは言います。
起きたことは変えられないけれど、起きたことへの思いは変えていける。
そこに本当の幸せがあるのではないか、とも語っています。
幸せになる人の特徴として、寺岡さんは、あるもの探しがとても上手な人たちだと話しています。
反対に、幸せになりにくい人は、ないもの探しが好きなのだそうです。
会社の人間関係、子どもや家族のこと、体のこと。
日常にはいろいろな悩みがあります。
そのうえで、今あるものをどう受け取っていくかが大事だそうです。
この話のポイント
折れない心は、つらいことが起きない心ではありません。
つらいことがあっても、今あるものに目を向け直せる心なのだと思います。
今日からできる、折れない心をつくる3つのこと
5人の話から、今日からできることを3つにまとめます。どれも小さなことです。
- 「してくれない」「してもらえない」という言葉に気づく:頭の中にこの言葉が浮かんだら、まずは気づくだけで構いません。助けを求めるのをやめる、という意味ではありません。矢部さんも、多くの人が自然にそう思ってしまうと話しています
- 一日の終わりに「よかった」を一つ探す:和田さんの「よかった探し」や、寺岡さんの「あるもの探し」のように。気持ちが完全に切り替わらなくても大丈夫です
- 信じてくれる人に、今の気持ちを話してみる:石黒さんにとってのお母さんのように、話を聞いてくれる人は支えになります。和田さんも営業の場面の話として、不安は言葉にしてはじめて向き合えると話していました
講師の話をもっと聞きたい方へ
今回紹介した5人は、いずれも人間力大學オンラインに登壇した講師です。
人間力大學オンラインでは、さまざまな分野の講師が、生き方や仕事、人との関わり方について講演しています。
事前対談の続きは、講演の本編で話されています。
つらい気持ちが続くときは、ひとりで抱えずに誰かに話してください。
電話やSNSで相談できる窓口の一覧 → まもろうよこころ(厚生労働省)
この記事は、人間力大學オンラインの事前対談(YouTube「人間力大學」)で講師の皆さんが話した内容をもとに、人間力大學 運営チームがまとめたものです。